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2008年1月

なんとも

国会はガソリン税の問題で紛糾していますね。例の「つなぎ法案」可決による与野党の全面対決というシナリオが河野、江田両衆参議院長の仲立ちで食い止められるという展開になりました。この法案の提出は民主党側からの妥協を引き出すための戦術だったということなんでしょうか。激しい国会の攻防ですが、結局のところ、なにがしたいわけ、というのが率直な感想です。道路の問題というのが重要であることは分かりますが、サブプライム問題に端を発した世界的な金融不安のまっただ中で論じるべき案件と言えるのでしょうか。危機の際に機能停止に陥るというのは日本政治の黄金の法則のような気がしてきて少し憂鬱になります。

Observing Japanという日本政治に関するブロガーでジャパン・ウォッチャーの間では有名なハリス氏が民主党のとるべき針路についてJTに寄稿しています。New approach for the DPJ[JT] この記事によると民主党は反対政党であるべきなのか責任ある参院第一党として振る舞うべきなのかというジレンマに直面している。最近は小沢党首が給油問題で対決路線をとるかと思えば大連立を持ちかけたりと極端から極端へ行動して緊張を高める戦術をとっている。しかし党首のこうした強引な戦術にもかかわらず、民主党は国会や総選挙で有利な立場を占めるだろう。問題はどうやって民主党が先の選挙で得た共感を活かせるかにかかっている、と述べて以下忠告になるのですが、氏によれば、この答えは自民のやることなすことに反対することでもバラマキを約束することでもなく、ガバナンスの問題を中心に据えるべきである。というのも最近のスキャンダル(年金や防衛庁やC型肝炎)に見られるように透明性と説明責任が欠如していることが日本の政治の最大の問題であり、オンブズマンや監査人、監察人からなるアカウンタビリティーの制度を構築していく必要がある。また国会や諸委員会に政府をモニターさせるようにしないといけない。したがってもろもろの制度の運営の失敗という点で自民党を批判すること、それからどうあるべきかについて具体的な提案をすることが自民党と差異化する唯一で最良の方法である、ということです。

なかなか建設的なヴィジョンだなと思います。場当たり的に自民を攻撃しているだけでなく政府の行動をモニターする制度を構築するよう働きかけることで単なる反対政党ではなく統治能力のある責任政党であるという信頼感を醸成させるというのはあり得べき戦略だと思います。こうすれば確かに短期的な選挙戦術にとどまらず中長期的に日本政治の成熟に貢献することができるでしょう。もっとも現在の民主党は自分でもなにをやっているのかよく分かっていないように見えますが。やはり小沢党首では駄目ですかね。本人の言とは別に55年体制の体現者そのものに見えてしまいます。

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ところで

不正取引のジェロームですけれど、人物像についてちょっと面白い記事が。ちょっとした社会現象になっているようですね。Rogue trader admired by many at home[NZ Herald]

このジェロームですが、無口で繊細なタイプの男のようです。趣味は柔道とセーリング。同僚によると「ほとんどしゃべらず、イエスかノーでしか返事をしないやつ」で、柔道の先生は「とても集中力がある男」と証言しています。学生時代に「面白い奴」だったけれど、経済学を勉強し始めてから才能を開花させ、ナントそれからリヨン大学で学位を取得後、ソシエテジェネラル入り。会社ではヨーロッパのデリバティヴ商品を扱っていましたが、給料は同僚の中ではそれほど高くなく、かなりハードに働いてはいたけれども、その成績はパっとしなかったようです。CEOによれば犯行の動機は「まったく理解不能」。

で地元では一躍ヒーローになっているそうです。ブルターニュのポン・ラベ村というところの床屋の息子なんだそうですが、近所のおばさんたちにとっては理想的な息子みたいな存在で、彼は会社の失敗のスケープゴートにされただけなんだそうです。こうした見方は地元だけではなく、フランスという国が反金融的な(反アングロサクソン資本主義!)発想が強い国ということもあって国中に広まっているみたいですね。フランス共産党は彼をドレフュスになぞらえて、ネットも賛嘆の声で溢れているということです。また彼が与党UMPの運動員だったことが政治問題化に拍車をかけることになり、サルコジ大統領は金融界との距離の近さで知られていることもあり防戦に追われている一方、社会党はこの事件を「狂ったマネーの象徴」として批判しているとのこと。

最初にイメージした人物像にけっこう近いですね。孤独で寡黙で繊細なタイプ。ゲーマー的な感性のもち主のようですが、柔道家というところが微妙にフランスっぽい。またこの反響の仕方もとてもフランスっぽいですね。国際資本主義への不信の強さはヨーロッパでも随一でしょう。農本主義的な発想が強いようでマクドナルド打ち壊しみたいなヒステリックな反応はときどき報じられるところでありますね。日本でもホリエモン事件の時には「額に汗して働くのが尊いんだ!」という声が上がりましたが、このご時世ではそうもいっていられないのがつらいところです。

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むー

連鎖株安の中ですごい人が現れましたよね。誰ってジェロームのことです。ソシエテ・ジェネラルの不正取引で巨額損失をだした人です。むかし日本人でもいましたが、額が凄い。不正取引の持ち高が会社の時価総額を上回るというのだから、もう感覚があちらの領域に入ってしまっているのでしょう。数字との孤独な戯れの世界。とうてい伺い知ることのできない世界ですが、精神が徐々に壊れていきそうですね。こういう時にはディーラーやめて牧師になる人が増えるそうなんですが、この人も信仰の世界にいったりするんでしょうか。ソシエテ巨額損失、不正取引持ち高は8兆円近くに[日経]

インドネシアのスハルト元大統領が死去しました。その実績から言って偉大な政治家ではあることは間違いないでしょう。が、その評価は難しいものがあるでしょうね。スハルトをどう評価するのかというのはきっとこの国につきまとう問いになるんでしょう。批判としては不正蓄財はともかく例のレッドパージと東チモールですね。左派系の新聞ではこの問題が重点的に採り上げられていました。親米反共主義の代名詞的存在ということでイデオロギーがからむわけですが、そいういう色眼鏡を外したとして、残るのは治安秩序の確立にともなう暴力は人権の名において完全否定されるべきかというしんどい疑問で、わたしには答えるのが難しいです。もちろん批判はなされるべきですが。近代的な法治秩序の内部に安住している人間にはこのリアリティーはなかなか分からないんですが、世界のあちらこちらでいつもこの問題が浮上してくるわけですよね。Indonesia ex-leader Suharto dies[BBC]

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どうやら

株安も一息ついたようですね。東証大引け・急伸 米株高・円下落で心理改善、ほぼ全面高[日経] 。このまま推移してくれればと言いたいところですが、アメリカでは反落したようですし、そうもいかないのでしょうね。

楽観論と悲観論と飛び交っていますが、スイスのダヴォスでの福田首相の演説では悲観的になってはいけないが、行動が必要だとのこと。Japanese PM warns of economy risk[BBC] 具体的な行動ってなんなんでしょう。その動きは国内では見えないのですが。と思ったら日本語ソースだとずいぶん印象の違う記事が。世界株安への対応、首相が財政出動に慎重姿勢[読売] これだと実質日本は動かないよと言っていますね。財政出動が必要なタイミングだとは思いませんが、日銀にはなにか動きがあってもいいような気がします。

ところで今日はやや円安にふれましたが、なぜ円高が進行しているのでしょう。実体経済から言って円高になる必然性はほとんどないわけで、こういうときに変な動きをするという点が円という通貨の置かれた不透明な地位を象徴しているように思えます。うわさの円高シンドロームというやつですか。でも円高誘導する意味ってあまりなさそう。

話は変わって、インドを訪問したサルコジ首相が公立学校におけるターバン着用の禁止をめぐって釈明に追われた模様です。シン首相が「ターバンとシク教徒は不可分だ」と述べる一方で、1919年のシャンゼリゼでターバンを巻いた兵士の写真を掲げるグループが抗議行動をしたようです。2度の世界大戦中にフランスで戦ったシク教徒は8万人に及ぶとのこと。Sikhs urge Sarkozy to lift turban ban[BBC]

フランスでイスラームのスカーフをめぐってすったもんだがあることは日本でも報じられましたが、特定宗教を狙い撃ちにしたものではなく、キリスト教の十字架もユダヤ教のキッパもシク教のターバンも禁止されているそうです。ライシテ(世俗性)の原則というやつですね。それでシーク教徒は6000人ほどパリにいるらしいのですが、宗教上髪を切ることが禁止されているためにターバンを着用しないわけにはいかないんだという主張のようです。なかなか難しい問題です。日本だったらどうなるんでしょう。例の神社の問題を除いては政教分離に関しては曖昧というよく分からない状況ですからお咎めなしになりそうです。ところで髪や髭はそのままにしないといけないというのは知りませんでした。またwikipediaにもありますが、なぜかインド人=ターバンというステレオタイプがありますよね。ヒンズー教徒が主流なのに。それとイスラムの影響の強いインド土着宗教みたいなイメージだったんですが、一神教だったんですね。ええっー。恥ずかしながら知りませんでした。シク教徒 Wikipedia

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なんだか

すごい展開になっていますね。株価の全面安のことです、もちろん。わたしは株なんてやらない人間なんですが、どうも他人事ではいられなさそうな展開なので記念にエントリーたてておきましょう。この間長いこと書かなかったのですが、やっぱりブログ続けるのって難しい。なにか意味のあること書こうと思うからダメなんでしょうね。ちまちまと希薄な内容でも書き付けているうちに全体として何事かを意味するようになるのかもしれないと少し反省しつつ。

さて米国のサブプライムローン問題に起因したこの混乱ですが、すっかり全世界に波及してしまいました。どうしてこんなことになったのかは金融について無知なわたしの理解を超えているのですが、要するに、MITとかなんとかいいとこの大学出の頭のいい金融工学屋さんがCDOとかいう形で債券を証券化して全世界にバラまくことで、消費意欲を引き出すべく低所得者層に無理な借金させるというプランがもたなかったということのようですね。そしてこのプランは前のFRBのグリーンスパン氏の時につくられたもので、ITバブルの崩壊を受けて住宅バブルへマネーの流れを向け換えようと綱渡りをしていたのだけれどもそんなうまくいくかよという話のようです。

そしてもっと大きく言えば、アメリカの消費市場が全世界の経済発展を支えるというブレトン・ウッズ体制の現代版がはたして今後も維持できるのかという話のようです。つまり途上国がドルや国債を買ってアメリカの消費を支えつつ、ガチョウの口にえさを押し込むように製品を売ることで経済発展するという枠組みです。今は中国がこの受益者の代表なわけですが、もちろんこのスキームの恩恵を蒙ってきたのは日本だったりしますから、この枠組みが維持されるかどうかは中長期的に我が国にとって死活的な問題だということのようです。

ユーロ圏はアメリカへの経済的依存から脱したのごとく喧伝されていたのですが、あらら直撃を受けていますね。欧州の銀行や証券はこの毒まんじゅうをずいぶん飲み込んでしまっているようですが、どのぐらいの損失を蒙ったのかはまだあまりニュースになっていないようです。きっとガクブルしているんでしょう。欧米金融機関、サブプライム損失13兆円[日経]

アジア諸国はこのCDOを抱えている上に、アメリカの景気後退の見通しの下で輸出の減少が見込まれて売りが入っているという模様です。ところでなんでインドまではげしく下がっているんでしょうね。あそこは内需型の経済でしたよね。ともあれ本当に世界はアメリカの市場に依存しているんだなと実感した次第です。デカップリングとか言っていませんでしたっけ。アジアもおもいっきり下げてる。

さて世界恐慌に発展するかと世界が戦々恐々としているこの情勢において、我が国はひたすら神風待望モードのようです。なにか世界に対してグリップ力なんてない感じです。日銀もすっかり思考停止状態のようです。この期に及んで建築不況のせいだってえ。いったいどこに経済の過熱の兆候があるんですか、福井さん。BoJ holds to optimistic line(FT) もう不都合な現実など見たくもない。嵐の大海原をオールを失ったまま漂流するボートのようです。国会も政争にあけくれている場合なんでしょうか。建築不況の原因となった耐震偽装問題だって政争がらみのスキャンダルでしたよね。大田経済財政担当相の発言もなんだかマイナスのメッセージばかり伝えているように思えます。政府も頼れない。なんだかんだ言っても小泉政権時代のほうが機動的に動いていたことを思うと、やっぱり指導力があるかないかで雲泥の差ですね。

しかし1930年代に我らが帝国が暴走したそのわけがひしひしと理解できるような気がしてくるのは悪い兆候なんでしょうか。ここしばらくの人々の意識の内向きさ加減といい、メディアや世論の圧力を受ける形での外交や経済政策の迷走ぶりといい、政党政治のぐだぐだぶりといい、どうも危機的な場面で同じようなパターンが観察されるのが哀しいところです。バブル崩壊以降ずっとそうですね。プレイヤーのそれぞれが責任をなすりつけあって未決断のまま事態がずるずる悪化というのが日本の最悪パターンのような気がします。そして最後に結局誰が悪かったのか分からないという。もっともあれ以上悪い状況になるなどとは思っているわけではないですが。

ところでFRBのバーナンキ氏というのはこういう事態を専門に研究している理論家なわけですよね。また利下げの決断をしたようですが、不況の時にインタゲ派の人たちが言っていたことの妥当性が実地で試されそうです。はたして金融政策のプロに景気後退は防げるのでしょうか、見物です。また日銀の金融政策に対していい具合の外圧になってくれるといいのですが。

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