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んー

あんまりイデオロギー的なネタには踏み込みたくないなと思いつつも、新高輪のプリンスホテルが街宣右翼のデモ(なのかなあれ)をおそれて日教組の予約を一方的にキャンセルした例の問題が少し気にかかります。どう考えたらいいのかよく分からないです。

ホテルを「公的施設」と一方的に規定している朝日社説 の論理が異色なのを別にすると、毎日社説 はこの事件を「集会や言論、表現の会場使用をめぐる問題」として捉えて裁判所の決定に従わなかったことを批判し、読売社説 も同様に「憲法で保障された「集会の自由」「表現の自由」が脅かされてはならない。」としてホテル側の対応を非難しています。ついでに読売は左翼の抗議でつぶされた集会の例も挙げていて、これは前2紙のダブルスタンダードの批判になっているのが楽しいところです。

わたし自身日教組に対してはうさんくささを感じる人間なんですが、街宣右翼には共感しようがないわけで、こういう形で集会がつぶれてしまうというのはさすがによくないだろうとは思います。こういう事件が頻発する社会をよい社会だとは思えないという点で。とはいえ法的に考えた場合にはこれはこれで通ってしまうわけですよね。ホテルが裁判に負けたとしても賠償金の支払いで済ませれば。そして一企業としては一方的な契約解除による信用喪失よりも営業妨害により生じる損失(ってどう計算されるんでしょう)の方がいやだと判断すればこれはこれで合理的な行動になるわけです。集会の自由といっても公的機関ではなく私企業にすぎないですから憲法違反になるわけではないですし。

この点について法哲学者のおおやにきさんという人のblogにいきあたりました。「法は守るべきか 」というところまで議論がいってしまっています。なかなか辛辣な朝日社説への揶揄なんですが、議論の内容は比較的分かりやすい。これは信義則と遵法義務の問題であり、契約を破る自由を認め、一般的な遵法義務は認めないという立場をとる以上、法的には問題ないとするが、信義と法的秩序を尊重するという自分の信念から言えば、このホテルの対応はひどいし、今後このホテルは利用することはあるまいと。

法的問題は脇におくとして、こうした場面で政治はなにか発言すべきではないかと思う訳ですが、特にコメントは出ていないですよね。社民党を除けば。変な先例になるといけませんからスルーはよくないと思います。で、お前はあの日教組を擁護するのかという人もいるかもしれないですが、ヴォルテールの「わたしはあなたの意見には反対だが、あなたが意見を言う権利は命がけで守る」(これほんとに言ったのか眉唾みたいですが)というのが言論の自由の原則なわけです。ちょっと美しすぎる言い方もしれませんが。もちろん左翼の側の妨害で保守系の集会がつぶれるというような事態でも同じ原則からそれはよくないことだという評価になります。

この手のケースはきっと見えないところで起こっているような気がするんですよね。DV防止法のレクチャーのキャンセルの話も少し前に読んだ記憶があります。かならずしもDVシェルターみたいなものに信頼を寄せているという意味ではないんですが、少なくとも意見を言う場は奪うべきではないでしょう。こうして声の大きい連中が勝ってしまい、普通人が知らないところで徐々に空気が変化していくというのはあまり気持ちがいい話ではない。結局のところトラブルやリスクをおそれる臆病さが問題の根源にあるんでしょう。

PS. 他紙にだいぶ遅れましたが、産経も主張でとりあげていますね。裁判所の決定を支持し、ホテル側の対応を遺憾に思うという内容。仇敵に対してフェアな態度だと評価しておきます。

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