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道州制に関するメモ(2)

九州地方が明治維新および日本の近代化を推進する上で重要な役割を果たしたことについてはいまさら強調するまでもないことです。それに先立つ幕藩体制下においても先見の明をもった藩主の下で多様な政治的、経済的実験が試みられたことでも知られるお国柄です。この進取の気性に富んだ地方が件の道州制論議をリードしていることも頷ける話であります。中央からの議論ばかりでなく、地方からの議論が活発化するのがいいと書きましたが、麻生氏の道州制論は九州発の議論なんですよね。

九州知事会および九経連が提唱している「九州モデル」は今後の道州制議論に大きな影響を与える可能性を秘めたものとして注目されていますが、わたしの関心に引き寄せてその一部を紹介しておきます。いろいろなソースがありますが、この九経連のPDFが包括的で分かりやすいでしょう。

九州が目指すべき道州制とは「自律的経済圏」を可能とする地方自治システムであるとし、5つの戦略を柱にしています。

(1)広域的な産業政策の展開
(2)競争力のある社会資本の蓄積
(3)人材力を高める教育の推進
(4)対外的な情報発信 PR戦略の強化
(5)広域的な生活環境の整備

それぞれ要点だけ述べると、
(1)これまで県や市町村単位で行ってきた非効率な産業政策を改め、州政策として産業クラスターの形成をすすめる。既存の半導体、自動車、環境産業のクラスターに加えて、ロボットやバイオテクノロジーの産業集積を推進する。
(2)循環型高速交通体系の整備、港湾、空港整備による域外ネットワークの形成をすすめる。財政事情を勘案して選択と集中の原則により効率的なネットワークを構築する。
(3)半導体、バイオテクノロジーなどの分野での産学連携を進め、海外との連携を強化するために語学力の強化をはかる。ドイツの州立大学のモデルを挙げています。
(4)アジアからの観光客の受け入れ、アジア企業の誘致をサポートする。
(5)州の観点からの交通計画や都市計画、九州独自の環境政策、防災、救急、消防エリアの再編成をすすめる。

特に重要なのが、国、州、市町村の役割分担です。空間的な区割りでなく、「縦の区割り」ですね。ここで提唱されているのはわたしの望む「ラディカルな」分権論に近いものです。これによると、

・国の役割
   外交、防衛、国全体の治安維持に関わること
   一律の基準が必要な分野(法律、金融、社会保障)
   広範囲にわたる大規模プロジェクト、政策等
・州の役割
   域内の治安維持、災害対策に関わること
   域内の国土、環境保全
   広範囲にわたる社会資本整備の計画
   地域の特性を活かした教育
   競争力をもつ産業の育成
   地域の実情に沿った雇用政策
・市町村の役割
   住民生活と密接に関わる分野
   医療、福祉に関わる分野
   下水道、公園、街路の整備やまちづくり

最後に道州制への移行については漸次的なアプローチを主張しています。まず地方分権の推進、県間連携の強化、市町村機能の強化の段階、次に、県連合の形成の段階、最後に州への移行です。順序論としては基本的に正しいと思いますが、この過程では激しい権限と利権をめぐる角逐がみられるでしょう。期限を切って強力に押し進めていかないといけないでしょうね。

日経連は全国一律ではなく九州先行で道州制の導入を求めているようです。成功例をつくることが肝要なのかもしれませんが、九州は「自律的経済圏」の形成におそらく成功するでしょう、それだけの潜在力がある。まあ夢があっていいですね。

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