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MANGA

批評家の東浩紀さんがパリで「マンガ、60年後」という会議に出席するようです。このイベントにちなんで日仏語併記のブログがつくられています。中身は今のところそれほど濃いものではないですね。そのうち更新されていくんでしょうか。

フランスにおけるマンガのプレゼンスはそれはなかなか凄いものがあります。量的に言えばアメリカのほうが売り上げは多いようですが、おそらくは趣味人の間での消費という印象を受けます。一方、フランスではもっと普通に消費されている印象があります。町の小さな本屋にもかならず置いてありますし、パーキングエリアの売店みたいなところでも売っています。

ネットでは例えばskyblogというブログサービスがありますが、ここは主としてティーンエイジャーが身辺雑記や自分の趣味や交遊関係なんかを熱心に書いているサービスとして有名です。ブログというよりもソーシャル・ネットワークに近い印象を受けます。でマンガやアニメやゲームやJ-POPやアイドルなんかの名前を検索すると、でるはでるはということでライトな層からディープな層まで高校生の日常の中に定着しているんだなという印象を受けます。

というわけですっかり日常的風景の中に日本のサブカルが浸透しています。政治家や教育関係者がたまにヒステリーおこしたりしますが、道徳主義的抵抗感は北米よりは薄い感じがします。それはこの国が外国文化を異文化として愛でる帝国的余裕を持っているということがひとつ、それから道徳に関して二元論的な峻厳さをはぐらかすというか相対化する傾向がその風土に存在していることがあるのかもしれません。清濁合わせ飲むといいますか、カトリック圏なんだかラテン圏なんだか分かりませんが、特有の包容力というのがあるような気がします。まあ、あまりにコアなオタクアニメみたいなものは日本同様にやばいという目で見られてはいますよ、もちろん。

それはともかく東浩紀さんはむかーし「存在論的、郵便的」を読んで以来、その活動を追っていませんのでオタク関係の業績については知りません。だからこのブログの記述だけからの印象になりますが、どういう対話になるんだろう、話が通じるかなと思います。東さんは自分はフランスそのものではなく英語圏経由で日本の批評の文脈でポストモダニズムを学んだと正直に書いていますが、この文脈はフランスからはほとんど見えないものだからです。フランスでは68年の思想ということでうさんくさい目で見られることが多いとはいえ、最近では英語圏から逆輸入しようとする若い世代の人間もいるみたいですから、そういう文脈で受容されるんでしょうかね。わたしはフランス現代思想とかアメリカの文化左翼とかいうのがどうも苦手なのですが、素材がマンガという身近なメディアですから、とりあえずどんな対話が可能なのか、そこではどんな理解と誤解が生じるのかという一点だけに興味があるので成り行きを見守りたいと思います。

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コメント

日本のポストモダニズムって文芸批評なんかよくありましたし、今でもあるのでしょうけど、ほとんど空疎な印象しかないですね。(ただ、つねに横目で気にしていたりして)
ところで、英語圏でも日本でもフランスの思想というとそちら系というイメージが強いんじゃないですかね。

投稿: 空 | 2008年3月26日 (水) 07時05分

本当にスカスカでしたね。柄谷行人とか蓮見重彦とか熱心に読んでいる同級生はそれなりにいましたが、なんというかカルト的な雰囲気がいやでした。排他的で。

英語圏のポストモダニズムはかなり政治的な印象があります。フランスだとマルクス主義批判という文脈があってアイロニカルなんですが、アメリカではカウンタカルチャーやフェミニズムや公民権運動なんかと連動したのでもっとナイーブに受容されたみたいです。日本でもこの真似をする輩が増えていますが正直読むに耐えないです。

投稿: mozu | 2008年3月26日 (水) 09時07分

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