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フレンチ・リバタリアンを君は知っているか

日本であまり知られていないフランスの思想家にフレデリック・バスティアという人がいます。19世紀の自由主義思想家で政治経済学者です。アキテーヌのバイヨンヌ出身で若くして一家の輸出商のビジネスに関わり、この体験から国家の規制の理不尽に敏感になったと言われます。時あたかもナポレオン戦争の時代です。大変な博識で関心領域も広いので今イメージする経済学者というわけではありません。経済思想家としての公的活動はわずか6年ほどと言われますが、この際に「リバタリアン的」な経済思想の普及に努めました。

オーストリア学派の先駆者などと遡及的に言及されることもあるほどその自由主義は当時にあって徹底的なものであったと言われます。国家主義者に対する激しいアジはアナーキスト的にも感じられるほどです。政治的には生命、財産、自由といった個人の権利を守る以外に政府の役割を認めないという急進的な自由主義の立場であり、また経済学的には消費需要の役割を重視する立場をとりました。20世紀にハイエクが注目したことでも知られています。

彼の作品は論文のようなかっちりした形式ではなく時事的な関心に基づきつつ風刺文学的な手法で論敵をやっつけるという形式ですので、あまり経済学に詳しくない人でも楽しんで読むことができます。もっともこの時代の思想家はみんなそういうスタイルですけれど。日本語情報の極度に少ない中できゅうりさんという方がなんと彼の代表作の「法」の翻訳をなされていたのですが、残念ながら現在接続できない状態になっています。どうしたのでしょう。

以下のサイトで彼の代表的な著作をフランス語か英訳で読むことができます。内容についてはいずれ別エントリーで書きたいと思います。
Bastiat.org/
Library of Economics and Liberty

20世紀を通じてすっかり国家主義的、統制主義的経済になってしまったフランスではありますが、フレンチ・リバタリアンというのがかつて確かに存在したのです。アングロサクソン型経済との対決などといつまでも気負ってばかりいないで、自らの過去を振り返ってこうした思想の地脈を掘り返してみたらいいと思うのですがねぇ。かつてはもっと自由だったですよ、フランスは。

PS きゅうりさんの翻訳ですが、ブログの方で公開されていました。リンク(PDF)をはらせていただきます。なおわたしは雄々しきリバタリアンではなく、ぬるい保守的自由主義者に分類されるような人間ですが、理屈や思想はともかくリアルなリバタリアンの人々は好きなんですよね。

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