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一人当たりでみると

人口減少をめぐってはさまざまな見解があるわけですが、個人ベースの生活水準という観点からみたならばという記事がエコノミストに掲載されています。以下簡単な紹介です。訳でありません。

Grossly distorted picture(Economist)
まずここ数年の経済的パファーマンスに関してアメリカがダイナミックに繁栄する一方で、日本は停滞を余儀なくされているという一般的なイメージがある。実際、GDPもアメリカが2.9%に対して日本は2.1%にとどまっている。ところが一人当たりのGDPで考えるならばまったく違うストーリーが見えてくる。実際、日本の一人当たりGDPが2.1%の成長をしている一方で、アメリカは1.9%、ドイツは1.4%にとどまっているからである。意外なことにアメリカが毎年1%の移民による人口増加と高い出生率を誇っていることがこの数字を引き下げているのであり、人口減少が進んでいるがゆえに日本のパフォーマンスがよい結果になっている。

一人当たりGDPを指標に利用するならばまったく異なった像を示すことになる。3.3%の成長を誇りにしているオーストラリアも人口増加ゆえに一人当たりGDPで考えれば日本以下であるし、ユーロ圏の成長頭のスペインも日本はおろかドイツにも劣っている(ドイツもまた人口減少に悩む)。また一人当たりGDPを指標にすれば景気後退の定義も変更せざるを得なくなる。例えば、アメリカは去年の第四四半期から景気後退に入っていたことになる。

こういう考え方を政治家、特に世界に対する経済的、軍事的支配を維持することを政策としている政治家は好まない。アメリカ人ならば、高齢化によって労働力が減少する中で生産性をあげられなければ現在の成長を維持しにくくなる点、成長が鈍化するならば財政赤字を減らすのが困難になる点、投資家は一国のGDPで投資先を選ぶという点の三点から反論するだろう。

一人当たりGDPの値を四半期ごとに公表するならば、国民は自分達の平均所得の上下がわかるし、そのことが経済に恩恵を与える効果がある。悲観的なレボートばかり聞かされて萎縮してしまっている日本では消費を活性化し、GDPそのものを高くすることができるかもしれない。

この論点そのものはさほど新しいものではなく、日本でも人口減少を憂う言説に対してこういうプラス面だってありますよという形で男女の経済的平等を促すという論点とともに指摘されてきたものです。ただ影響力から言ってエコノミストにこうした記事が掲載される意味は大きいです。数値を四半期ごとに公表することで消費を促す効果があるかもというのは面白いですね。政府も一考してみてはどうでしょう。景気は気から。少子化対策に関してはわたしは積極的にとりくむべきだという立場ですが(財政的側面から減少カーブがきつすぎるのはやはりまずい)、過度に社会不安を煽る言説には心底うんざりしているので、少し心に余裕をもって日本の未来を見ていくためにはこういう論点がもう少し一般化してもいいかなと思います。

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