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テリーブル

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フランスの新型ミサイル原潜「テリーブル(terrible)」の進水式がシェルブールで行われました。テリーブルの性能ですが、哀しいかな、その方面の知識がまったくなく、たしかに恐ろしげですねぇ、みたいなリアクションしかできませんので軍事に詳しい方にお任せします。そのうち出てくるでしょうね。

この進水式の席でサルコジ大統領がフランスの核ドクトリンについて新たな方針を述べた模様です。核戦略に関する最近の演説ではフランスの「死活的利害」を脅かす諸勢力に対する核報復の可能性を訴えた2006年のシラク前大統領のものが話題になりましたが、このたびの演説はそれに次ぐものです。ル・モンドの記事によれば、シラク演説が「死活的利害」を具体的に列挙したのがかえって論争を招いてしまったのを反省したのか、詳細な使用可能状況については言及しなかったそうです。サルコジによれば、核戦力は侵略国の経済的、政治的、軍事的な権力中枢に対する「正当防衛兵器」であり、それが向けられる対象は国家のみであると限定しています。以下、演説の骨子は産経の山口昌子さんの記事をそのまま引用します。

フランスのサルコジ大統領は21日、同国の航空核戦力を3分の2に縮小することで、核弾頭の総数を300以下に減らすことを明らかにした。核戦力をスリム化しながら、軍縮問題でフランスが主導権を握る姿勢も鮮明にした。

大統領は、仏北西部シェルブールの軍港での新型原子力潜水艦の進水式で防衛政策について演説。この中で、短・中距離の地対地ミサイル禁止条約や兵器用核分裂性物質生産禁止条約の交渉開始のほか、核分裂性物質の生産を即時停止することを提案した。

フランスの核抑止力戦略に関しては「軍縮の新措置を決めた」と述べ、核兵器やミサイル、核搭載航空機の数を3分の1削減することを言明。大統領は「この削減後、われわれの軍装備は核弾頭数が300以下となる。これは冷戦中にわれわれが保有していた最高期の核弾頭数の半数に当たる」と述べ、核弾頭を多数所持している米露の削減を暗にうながした。米国は2006年のジュネーブ軍縮会議で、兵器用核分裂性物質生産禁止条約案を提示。フランスはこれを支持したが、具体化していない。

また大統領は、イランの核開発問題に言及して「欧州の安全が危険にさらされている」とも指摘。欧州全体の安全保障においてフランスの核抑止力が果たす役割について、欧州各国と対話することを提案した。

核戦力のスリム化、核軍縮問題でのフランスのイニシアティブ、イランの核開発への牽制、欧州安全保障におけるフランスの核抑止力の位置づけの4点を主張したようです。このうち核戦力のスリム化ですが、航空核戦力を3分の2に縮小する一方で戦略原潜に再配置するということのようです。これを核軍縮の議論につなげるわけですね。他の日本語ソースだと大胆な核軍縮に乗り出したみたいな印象を受けますが、それはちょっと違います。

またイランへの牽制とフランスの核抑止力の役割の強調は、4月のEUのサミットの席で予定されていると伝えられるNATOへの復帰の宣言につながる話であります。しばらく前にドイツのメルケル首相にフランスと核戦力を共有しないかとラブ・コールしたのも同じ流れです。まだ十分に見えてきませんが、どうやらフランスの安全保障政策も大幅に変更されることになりそうですね。ぐずぐずのNATOではありますが、さてサルコジのイニシアティブはどのような結果をもたらすのでしょうか。大西洋の距離は縮まるのか、はたまたフランスのエゴですったもんだの紛糾になるのか。4月のEUのサミットが興味深いです。

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