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フランス政局の印象

かつてフランス政治に関するブログをやっていたこともあるのですが、しばらく関心を失ってしまったこともあり、ニュースもあまり読んでいませんでした。サルコジの人気が急落していることは承知していましたが、9日と16日に行われた統一地方選では左派の巻き返しがありました。主要都市で与党UMPの候補が現職を失ったようですが、メスのような保守的で知られる都市までとられていますね。左派が49%に対して右派が47.5%の得票だったそうです。英語の解説ではエコノミストの記事が分かりやすいです。

改革者として期待を一身に集めたサルコジですが、ここまでのパフォーマンスから判断するならば、失望が広まっても無理はない。実質なにもしていない。私生活の露出で保守層の支持を失い、問題含みな発言の連発で中道層の反感を呼び、なによりも景況の悪化がこうした不満に拍車をかけているようです。またサルコジ寄りになっていたメディアが敵に回ってしまったのも大きい。ル・モンドの論調の変化もいちじるしいです。

とはいえこの結果は批判票であって有権者が社会党の政策そのものを支持しているわけでもありません。実際、社会党は深刻な分裂状態にあり、なにが政策なのかもよく分からない。どうやらフランスもしばらくは政治的に停滞する予感がします。今後は内政からしばらく手を引いて外交や安全保障に専念するか、あるいはデモの嵐の中ででも強硬に改革を押し進めるのかのどちらかになるのでしょうが、個人的には前者にベットしたくなります。

やはりこの人はサッチャータイプではなかったですね。日本で言えば小泉政権というよりもなんとなく安倍政権を想起させます。空疎なレトリックばかりで実質的な仕事が進まない。無用なイデオロギー的な争論を巻き起こして中道層を失望させると。どうもこの人はあれやこれや中途半端に手をつける器用さはあっても、一点突破するだけの愚直さを欠いているようです。

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PS 最近日本のねじれ国会がらみでフランスのコアビタシオン(字義通りには同棲、保革共存体制のこと)に言及する人が多いような気がします。フランスの議会としては元老院と国民議会がありますが、元老院は諮問機関に過ぎませんし、元老院議員は直接選挙で選出されるわけではありません。コアビタシオンとは国家元首たる大統領と議会の代表たる首相の政党が異なるという意味ですから日本の現在の状況を指す言葉としては不適当だと思います。というわけで議会主義の国に例を求めるべきなんでしょうが、日本の参議院の状況は他国の上院(=元老院)ともずいぶん異なるので、はて困ります。参議院の衆議院化の趨勢にはずいぶん前から批判があったわけですが、こんなふうになってしまうとはとほほですね。

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