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頼むよ民主党

わたしも何度か現在の与野党の対立を民政党と政友会の党争にたとえてきたわけですが、雪斎殿こと櫻田淳氏が産経の正論欄にて論説を寄稿されています。良質な政治的現実主義者として敬意を抱いている人ですので心強いものを感じました。ロンドン海軍軍縮条約締結に絡んで統帥権干犯問題が浮上し、政党政治が崩壊に至るプロセスを想起し、民主党に対して「内治」案件を党争の具にするのはけっこうであるが、「安全保障、対外関係、国際経済に絡む案件」は党争の具にすべきではないという提言をしています。民主党は正しい権力の使い方を学ばなくてはならないと。

わたしは日本の政党政治の成熟を望む者であり、その点で民主党に期待するところが非常に大きいのでありますが、昨今の民主党の行動のいくつかはその期待を裏切るものでありました。与党と妥協しろと言っているわけではありません。現在の政治力学の下では対決姿勢を鮮明にして政府与党を攻撃することはまことに理にかなった行動であります。また本来野党とはそうしたものであります。自民党長期政権下で蓄積された膿みを白日の下にさらすことはよりよいガバナンスの実現にむけて必須の作業でありましょう。道路の問題などなかなかよくやっております。しかしながら党争の具にしてはならない案件というものがあり、あぶない案件を「狙い撃ち」するかのように党争の具にする姿には時に不安を抱きます。

日米同盟を対等とはいわないまでもより透明度の高い関係にするのも大切なことでありますし、そのためにはこれまでタブーであった領域に切り込むことも必要でありましょう。自衛隊の装備の調達の問題やいわゆる思いやり予算の問題などで透明性と説明責任を要求することは成熟した民主主義国にあっては理にかなったことでありましょう。しかし党内で共有されたヴィジョンもないままに批判のための批判を行っているように見えるのが問題です。「国連中心主義」を本気で信じているのかどうかもよく分からない。言うまでもなくそれは安全保障政策などというものではありません。かつて社会党がおそらくは信じてもいない日米安保反対を主張したことがどれだけ日本の安全保障に関する合理的かつ現実的な議論を妨害することになったのか計り知れないほどでありました。

外交に関しても同様であります。民主党の外交方針は今もって不明でありますが、心情的なアジア主義やら国連信仰を外交の基本に据えて、幼稚な反米主義を煽っているように聞こえます。これがきわめて危険であることは言うまでもないことです。それではいつか来た道です。冷戦後の世界にあって寛大なる米国への甘えの心情を捨て去らなくてはならないでしょうし(子供じみた反米は甘えそのものです)、アジア諸国との友好を深めることもまたまことに結構なことであります。しかしながら外交とはアイデンティティーや好悪の問題ではなく、国益計算の問題です。しょせんは他国は他国にすぎない。親中派だの親米派だのまことに主体性のない話でありますし、甘い戦略にもとづいて心情論で外交を行う危険性については亡国という最悪の結果をもって我が国はいやというほど学んだはずであります。まず外交や安全保障について党内で合意された政策を練り上げて国民を安心させなくてはならないでしょう。この点で現在の民主党がメディアとともに国民をミスリードする危険についていくばくかの不安を抱かざるを得ない。

民主党には党内合意もない案件を非戦略的に争点化したりすることではなく、政官の癒着にともなう腐敗の構造をどんどん追求すること、チェック・アンド・バランスの効く新たな政治システムの構築にその努力を傾注することを期待しております。よりよい統治の実現に向けてです。それが多くの国民の期待する役割でもあります。頼むよ民主党。

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