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「独立」フェチについて

(以下怒りをそのままぶちまけた内容ですので、感情的な表現を多用しています。ご注意ください)

日本に民主党という正体不明の政党が存在していることはみなさんご存知の通りです。長期にわたってなにひとつ善をもたらさなかったあの議会妨害勢力たる社会党を撃滅することに成功した我が国の民主主義はどうやらまた類似の議会妨害勢力によって撹乱させられ続けるという悲喜劇に直面しているようです。

わたしは積極的な自民党支持者であったことは一度もなく、民主党に票を投じたこともあります。ただ我が国が憲政の常道を歩むこと、政党政治が成熟することを願い続けているわけですが、この民主主義国にあって当たり前の願望がなぜ叶えられないのか一国民として不思議に思うばかりであります。なぜ我が国の政治指導者たちは国民に対して適切な選択肢を提供するのに失敗し続けるのか。

言うまでもなくこの不満と憤りは現在の日銀総裁の選出過程における民主党の「馬鹿」としか言いようのない戦術によってもたらされたものであります。わたしは汚い言葉は実生活でもネットの世界でも使いたくないのですが、こう言うほかないような醜悪さです。民主党が宣う「財金分離論」なるものが反対のための反対にすぎないことは明々白々であります。もし本気で言っているのならば正真正銘の「馬鹿」でしょう。

「中央銀行の独立」とは政府と政策目的を共有しつつ、その政策手段に関しては中央銀行は独立して判断をするという考え方のことであります。ところが民主党にあっては(あるいは日銀にあっては)中央銀行には政府の政策目的に背く自由があるということを意味するようです。実際、日銀が2000年代に入って政府の懸念をも撥ね除けて奇妙な金融政策を行い続けることで不況の長期化をもたらしたことは多くの知るところであります。

この「独立」の語の物神化のプロセスを見る限り、あの忌まわしい統帥権問題を想起するなというほうが難しい。かつて政友会と民政党の政争のための政争から「独立」の語の意味が拡大解釈され、ついにこれが濫用されるという結果に陥ったことは歴史を知る者の常識であります。

第二にこの選出劇において民主党は根本的に我が国が直面している問題を理解していないことを暴露してしまいました。デフレの進行する中で行われた低金利政策がなんだったのか、現在景気後退の懸念の中にあって先進国各国において金融緩和の必要性が叫ばれている意味を民主党は理解していない模様なのです。わたしが知る限り、民主党には金融政策について十分な知識のある議員も何人かいるはずなのですが、この不毛な政争のせいで彼らの声は圧殺されているようです。

日銀総裁の選出は日本一国の問題ではなく、世界経済の動向にとってもある程度は重要な問題です。それを政争の道具にするとはなんという政党でしょうか。インド洋での給油問題の際にあれだけ国際非難を浴びたことを民主党はどのように受け止めているのでしょう。こんな視野狭窄に陥った知性もなければ能力もない政党を誰が支持できるというのでしょうか。あの戦術はあっても戦略のない党首がいすわっている限り、この茶番劇は続くのでしょうか。これが出来レースであることを願うばかりでありますが、どうやらこの党首は政権奪取のためならば日本そのものを人質にとることも辞さない気のようです。本末転倒いちじるしい話であります。

PS 統帥権問題と言えば現幹事長の祖父にあたる鳩山一郎ですね。鳩山兄弟は現政界においてなんだか訳の分からない存在として異彩をはなっていますが、鳩山家の来歴に少し関心が湧いてきました。鳩山家の料理本とか勉強法とかアレな本はありますが、それほど図書が出ていないですね。代表的な研究者って誰なんでしょう。気になったものだけクリップ。
鳩山一族—誰も書かなかったその内幕 伊藤 博敏
The Hatoyama Dynasty: Japanese Political Leadership Through the Generations by Mayumi Itoh

PS 白川氏が総裁を代行してその間に協議で選定するという手続きになりそうですね。経済はまあなんとかもつでしょう。大げさに書きましたが、民主党に完全に絶望しているというわけではないです。ただ与党を攻めるにしてももっと戦略的かつ生産的にやってほしい。前に書きましたが、行政のガバナンス全体の問題を突いてチェックアンドバランスの効くシステムを構築してほしい。政党政治が成熟し、新たなシステムが機能するまで政治的混乱は続くでしょうが、それができるだけ短期間で済むように心から願っています。

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