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中国批判を回避するフランス

このたびのチベットにおける事変に関して各国政府の対応が非常に及び腰であることについては広く指摘されている通りです。メディアや市民レベルでの抗議の声が高まる一方で、自由や人権や民主主義を看板に掲げているはずの国々の政府が対応に苦慮している様は情けないの一言に尽きますが、これも現実です。溜息。フランスはいつもの狡猾外交でしょうか。メルケルがけなげに見えてきます。もっともここでいう北京の権力中枢の「強硬派」と「穏健派」の対立という枠組みはリアリティーがありますが。以下、3月21日のル・モンド社説の翻訳です。粗い訳ですので読みにくいかもしれません。ご寛恕願います。

「フランスはチベットについて中国批判を避ける」

北京との「戦略的かつ包括的なパートナーシップ」の維持への配慮として、フランスはチベットの事変を前にして他のヨーロッパ諸国に比べて控えめな態度をとった。この20年来の「自治区」における中国の治安部隊によって遂行された最悪の弾圧の波に抗議するためにパリはいかなる具体的な手段もとっていない。チベットでは3月21日金曜に重要な軍事作戦が展開された。この一週間の暴力による死者は数百人にのぼるだろう。

フランスの態度は英国やドイツによってとられた立場と対照的であり、欧州が確固たる共通の立場をつくりあげる困難を示している。欧州連合は「各メンバー」に「慎み」を呼びかけるにとどまった。高貴な外交へと豹変した英国の首相のゴードン・ブラウンは水曜、5月にロンドンでダライ・ラマの訪問を受け入れると予告した。この予告は北京の強烈な非難をひき起こした。ベルリンは同じ日にチベット情勢への抗議の印として「(経済的)発展」の問題に関して中国との二国間交渉の凍結を告げた。

かくしてニコラ・サルコジの外交はチベット危機によりデリケートな立場に立たされることになる。一方で重要な経済的な契約が調印された2007年11月の北京訪問の際もそうだったが、人権の擁護はこの国家元首の優先事項として示されたわけだから。

フランスの路線はジャーナリストのチベットへのアクセスを要求し、北京当局とダライ・ラマ─もっと過激な若い世代のチベット人を抑えるのに適任の穏健勢力とみなされる─との直接対話を呼びかけることにあった。

こうした支援はパリにハイレベルでチベットの精神的指導者を受け入れるという明瞭な措置をともなうものではない。その際ダライ・ラマはオリピック期間の8月に数日間滞在するはずである。サルコジ氏は彼に会うのだろうか?この点を問われて、エリゼは金曜朝に答えた。「その問題はあらゆる変数に応じて来るべき時に解決される」と。ダライ・ラマは2007年9月にドイツ首相アンゲラ・メルケルに歓迎されたが、これは数ヶ月にわたる北京との外交的危機をひき起こした。

最も深刻な弾圧は終了し、チベットに秩序が再建されつつあり、批判を強めることで北京の権力の強硬派を利するよりも、北京の「穏健派」がチベット問題を把握し、対話に取り組む「事後の」局面を待つほうがよい、とエリゼでは説明されている。「フランスは中国に賭けている」とサルコジ氏の周辺は強調している。彼らの間ではダルフールやイランの核のような問題に関して北京との協力が祝福されてきたのだった。

フランスは他のヨーロッパ諸国、とりわけドイツとは反対に1989年の天安門虐殺の直後に決定された中国への武器輸出禁止の解禁に好意的であるとエリゼは確認している。北京へのもうひとつの賭け金についてパリは木曜に台湾に関してその立場を繰り返した。「フランスにとって中国はひとつしかない。台湾は中国の一部である」とケ・ドルセー(外務省)は述べた。サルコジ氏は2007年11月に対中国外交は「ウィン・ウィン」の性質を帯びていると説明し、いくつかの点で中国を安心させて「率直に」語るための駆け引きの余地を残した。

しかしエリゼはチベットの事変に関していかなるコミュニケも行っていない。反対に、ドイツ外相のフランク・ヴァルター・シュテインマイヤーは3月16日に電話で中国外相と会談し、チベットでの暴力の停止を要求し、ゴードン・ブラウンは3月19日に中国首相温家宝と意見を交わした。

外務省のこの問題に関する「コミュニケーション」は流動的、さらには矛盾したもののように見えた。ベルナール・クシュネル外相はオリンピック開会式ボイコットの考えは「評価できる」といった後、それは「非現実的だ」と強調した。その後には彼はラサでの出来事にもかからず人権問題に関して「中国人はおどろくべき進歩をした」とコメントしたのだ。

ロンドンがチベットに関して急先鋒に立つ一方で、エリゼは人権担当相ラマ・ヤデに「国際社会はチベットの状況悪化から結論を引き出すだろう」と宣言させたが、具体的な行動についてなにも告げなかった。エリゼは「われわれのメッセージにいっそうの力を与える欧州連合の立場をプロモート」したいと述べている。いずれにせよサルコジ氏はオリンピックに出席することになる。11月26日に北京で胡錦涛国家主席の前でそう約束したのだから。

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