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BRICsの調子はどう?

BRICsの時代がやってきた!日本も乗り遅れるな!といった煽り文句をここ数年間聞かされ続けているわけですが、煽り文句というものが時に実態を覆い隠しがちであることは世の習いであります。歴史上特筆すべき偉大なる発展であることは論を俟たないのですが、楽観的なものであれ悲観的なものであれ、あまり大げさな煽りばかり聞かされると、幻想を排除して状況を曇りなく明晰に理解したいものだなという気持ちもまた沸き起こってくるものです。というわけで(なにが?)Economistの"Another BRIC in the wall"というタイトルのマーケット観測をメモしておきます。粗い訳です。内容はごく普通の話です。

新興市場の過大評価の危険
ブラジル、ロシア、インド、中国の経済を表すのにゴールドマン・サックスがBRICという言葉を発明したが、これは素晴らしいマーケティング戦術であった。2001年に発明されたこのアクロニム(頭字語)は広く用いられ続け、BRICファンドは新興市場という宇宙の重要な部分を占めている。

実際、BRICsはゴールドマンの元々の期待を凌駕した。2001年11月にこの投資銀行が公表したペーパーにおいて、この4つの経済が10年ほどの間に世界の生産の10%以上を構成することになるだろうと予言された。実際には既に15%にまで到達しているのであった。

中国とアメリカの経済関係が世界で最も重要であるとみなされており、この関係はロンバード・ストリート・リサーチのチャールズ・デュマスの新著の対象ともなっている。中国は石油と食糧価格を高騰させ、Tボンド(財務省長期債券)を押し下げていると非難されている。

BRICsが重要であるのは確かであるが、グループとして均質性があるわけではない。実際には2つに分かれる。単純化すれば、ロシアとブラジルがコモディティー価格、特に前者はエネルギーに賭けている。インドと中国はそれぞれサービス業、製造業の市場シェアを得るべく低い労働コストの国の可能性に賭けている。グループとして見ると、4カ国の関係はなぜだか共生的だ。インドと中国での原材料への高い需要がロシアとブラジルのGDPを押し上げるというように。

今年はここまでBRIC証券市場のパフォーマンスは2つに分かれている。中国とインドがそれぞれ35%と21%の下落に苦しんでいるの対してブラジルは7%上昇と世界でも稀な勝ち組の一人となっている。ロシアはだいたいMSCIワールド・インデックスと同じで6%の下落というパフォーマンスだ。

この不一致の理由の一つは高いコモディティー価格と2008年を特徴づけたグローバルな成長に関する恐れの奇妙な組み合わせであるようだ。この組み合わせがブラジル、ロシアのような資源大国を助けているのだ。もう一つの理由は単純に中国とインドの証券市場が2007年に過熱し過ぎた(上海市場は昨年の2月と10月の間に2倍以上に高騰した)、そして今不可避的な反動に苦しんでいるということかもしれない。

ゴールドマンは4カ国についてのアップデートを公表したばかりだが、減速しているものの2008年と2009年のグローバルな成長の半分ぐらいに貢献するだろうとの見通しである。ゴールドマンの数値では中国は11.9%から10.5%へ減速するとのことだが、オリンピック前に環境汚染と取り組む政府の試みが経済をさらに減速させると予想する者もいる。

ロシアは4カ国の中で最大のインフレの問題を抱えているが(3月には年換算で13%)、年間50%(3ヶ月平均で算出)もの輸出の成長も享受している。他の3カ国も深刻なインフレ問題に直面しており、新興市場は今や先進国市場にとってプレミアムのratingであることを意味している。この状況は過去に激しい後退へとつながったことがある。

悪いことに、かつてのロシアの投資家が残念ながらよく知っているように、こうした市場での外国資本の扱いにはなお望まれる多くのことが残されている。BRICsは大いなるbuilding blocksかもしれないが、沈没することもあり得るのである。
(了)

インフレ圧力をうまくかわせるのかどうか・・・特に中国当局少なくともしばらくはがんばれと言いたいです。ところでゴールドマンサックス命名のBRICsですが、急成長したのがこの4カ国ではなかった世界はどうなったのでしょうかね。というのも経済合理性には反するわけですが、政治的に比較的安定したミドルクラスの国々への投資に集中していく戦略をとった場合の世界の姿はどういうものだったのだろうかと時々つまらぬ想像することがあるからです。

出所 Economist.com, Another BRIC in the wall, Apr 21st 2008.Cga212_3

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