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OECD勧告

今年度のOECD勧告が出たようです。日銀には早まるなよと釘をさす一方で、踏み込んだ税制改革の提言も行われた模様です。
OECD、税制見直し日本に勧告・消費税上げ、法人税は下げ[日経]

経済協力開発機構(OECD)は7日発表した日本への政策勧告で、高齢化による歳出圧力の高まりや財政再建に対処するには税制の抜本見直しが必要だと強調した。消費税率を上げる一方、法人税率は実質的に引き下げるよう提案。個人への所得課税では、所得が控除上限額に満たない納税者に税金を還付する仕組みが必要だと指摘した。
 政策勧告はすべての加盟国に対し定期的に実施しているもので、日本向けは2006年7月以来。今回は、日本が公的債務残高が国内総生産(GDP)の1.8倍に達するなど、世界最悪の財政状況にあると指摘。持続的な経済成長を続けながら財政を立て直すには歳出削減だけでは不十分で、税制の思い切ったテコ入れが重要だと強調した。

というように日経記事は財政改革のプランの骨子に触れていますが、これによると消費税を上げる一方で、法人税を減税すること、また所得税については控除上限額に満たない納税者に税金を還付する仕組みを整えよということです。消費税と法人税はいいとして、所得税は例の「負の所得税」のことでしょうか。ときどき導入せよという声は聞きますが、あまり真剣に議論されたことがないように思います。少し調べてみたいです。

また「OECDから日本へ。利上げするな」というJapan Timesの記事が日銀への勧告をまとめています。デフレが完全に解消されるまで利上げはしてはならないと。OECDから見ても日本の動きはわけがわからないでしょうね。これはどう考えても正しい意見なのですが、民主党は分かっているのでしょうか。目を覚ましてくれ。

Financial Timesにも記事がありました(要登録)。あまりテクニカルな話はなく、日本の抱える問題の概観といった内容です。訳しておきます。
「OECDが東京に赤字削減に焦点をあてるよう勧告する」(FT)
OECDの年次調査によれば、もし日本が増大する財政赤字に取り組むとしたら、グローバルな経済の減速の最中でも財政支出の削減をおし進め、税制を抜本的に改革しなければならない。

日本の最優先課題は政府の財政赤字を削減し、公的債務と国内総生産の比率を安定化し続ける必要性にあるとOECD事務総長のアンヘル・グリア氏は語った。この比率は2007年に180%にまで上昇したが、これはOECDの最高記録である。

日本の議会の政治的停滞や増税による縮小効果への懸念は痛みを伴う決定を遅延する言い訳にはならないとグリア氏は述べた。報告によれば、これを先延ばしすることは日本を金利上昇の打撃を受けやすい状態にさらし、債務返済レベルを急激に押し上げることになり得るだろう。

グリア氏が述べるところによれば、わずか0.5%のオーバーナイト金利の日本には、食糧・エネルギー価格の上昇や円上昇のショックに直面している時に、金融的または財政的柔軟性がなかった。「険悪な経済見通しは日本の政策担当者になにができるのかという問題を提起している」と彼は言う。

日本は既に大幅な歳出削減を行っており、これは今後の赤字削減は増税によらなければならないことを意味している、とこの報告の作者であるランダル・ジョーンズ氏は語った。

2002年に日本の回復が始まって以来、歳出超過は4%に半減された。政府支出はGDPの39%から36.5%にまで切り詰められ、日本のパブリック・セクターの相対的な小ささと高齢化人口の福祉のコスト上昇を考えればこれ以上削減する余地はあまりないと彼は言う。

その代わりにOECDは直接税から間接税への大幅な転換を推奨しているが、これはOECD最低水準の5%の消費税の大幅な増税を必要とし、より多くの企業や個人を税の網にかけることになる。企業の半数が税を免除されている一方で、半数以上の個人は5%という低い納税水準にあるとOECDは評価した。

ジョーンズ氏は2002年から2007年まで日本が年率2.1%の成長したことをほめたたえ、「財政環境が成長の足枷になっていることを考慮すればこれは印象深い数字だ」と言う。

しかし彼は言う。日本はベビーブーマーが退職して既に縮小している労働力の影響に対抗するために追加的な行動をとる必要があるだろうと。報告はアメリカの30%も低いと評価される生産性を上昇させるもろもろの手段を勧告している。OECDは日本の潜在成長率は1.4%であると評価しているが、これはメンバーの中で最低である。

報告はまた述べている。日本は非常に統制された正規労働者とあまり監督されていない非正規労働者の間のいわゆる「二元構造」を平坦化するために労働市場を自由化すべきだと。臨時の労働は1994年の20%から2007年の34%にまで爆発的に増加している。

労働力の二元構造は不平等の上昇の最大の要因であると言う。このことが生産年齢人口で2000年にOECDで5番目に不平等な社会に日本をしていたのだが、この状況はおそらくさらに悪化しているだろう。


税制改革をせよ、生産性を上げよ、労働市場改革をせよ、とのこと。その通りでございますなあとしか言いようがありません。ただタイミング的に増税ってできますかねぇ、現実問題として。まだデフレも解消できてないというのに。ところで企業の半分が税金払ってない、また所得税も半分しか払ってないって本当ですか?これってけっこうすごい数字のような気がするのですが・・・、国税庁が本気モードになれば税収一挙に増えそうです。OECDの報告はいずれ日本語訳も出回るでしょう。必ずしも正しい提言ばかりとは思わないわけですが(潜在成長率の見込みがちょっと低すぎると思う)、全体像をおおづかみにつかむのに便利ですので今年度の報告もいずれ読みたいと思います。

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