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プーチン流プラグマティズム

言うまでもなくNATOは対ロシアの意味合いが強い組織であります。加盟国問題もアメリカ、ロシア、欧州の地政学的駆け引きの問題に他なりません。というわけでもちろんブカレストの主役はプーチンでした。加盟国問題とミサイル防衛に触れたEconomistの記事が分かりやすかったので紹介します。

「ロシアより愛をこめて?」(From Russia with love?)[The Economist]
ウラジミール・プーチンは自分が政治的舞台の主役であることを知っている。4月5日金曜のNATO首脳会議の終わりに彼は言った。「いつでもわたしのスピーチの前には宗教的おののきのようなものがある」と。その通りだった。6年で初めてこの集まりに出席した(大統領職を離れる前の最後の出席)プーチン氏は果たしてミサイル防衛を受け入れた前日の決定の後に再び西洋を声高に批判するのだろうか。それともウクライナとグルジアの加盟を次の段階に進めることを脅迫によって拒否させた自身の成功にほくそ笑むのだろうかと。

彼はプラグマティックなアプローチを採用した。合意できない事柄もあったが、「相互非難のピンポン・マッチ」はなかったと彼は言い、「我々の懸念は聞き届けられた」と嬉しそうに付け加えた。ロシアは可能な分野でNATOとの建設的な協力を求めているのだろう。もっとも彼はその加盟国になることが安定と民主主義をもたらすという西洋側のマントラを軽蔑しているのだが。「NATOは民主主義推進機構(democratisator)ではない」と通訳は示唆した。

かつてはロシアの加盟に思いを巡らせた男がロシアはメンバーになることを欲していないと宣言した。今や彼はNATOのロシア周辺への拡大を安全への「直接の脅威」と見ている。彼はグローバルな役割を果たそうというNATOの野心(軍事的だけではなく、サイバー・セキュリティーやエネルギー補給の保護も)を疑問視した。「誰に対抗してNATOは存在するのか」と彼は尋ねた。

多くの欧州諸国にとって口にされない回答は「ロシア」だ。クレムリン恐怖がクルジア政府とウクライナ政府(必ずしもウクライナ人の大部分ではないが)がNATOへ接近しようとする理由を説明する。かつての共産主義諸国がNATOの拡大─かつての大西洋のポジションから黒海、さらにいつの日にかカスピ海へ─の熱烈な推進者だ。

激しい議論を巻き起こしたMAP(加盟行動計画)と呼ばれる加盟の次の段階にこの2つの国家を承認するのに尻込みしたのはドイツに率いられる「古い」欧州諸国であった。結局、歩み寄りが12月の会議で再びこの問題にもたれる予定となった(?ここ意味不明)。ウクライナとグルジアがいつの日か「メンバーになる」という約束とともに。

これはプーチン氏にとっての戦術的勝利であった。たとえウクライナとグルジアがこれを長期的な野心にとっての勝利であると解釈しようとも。しかし欧州における米国のミサイル防衛計画に調印するというNATOの合意はロシアの指導者にとっては打撃であった。ミサイルの増加が増大する脅威であることに加盟諸国は合意し、自身の安全保障への実質的な貢献としてポーランドとチェコ共和国への防衛システムの展開計画を歓迎した。加盟諸国はさらにこれをまだ防衛されていないトルコのような国々まで拡大し、NATO自身の対短距離ミサイル防衛計画に結合する方策を研究するだろう。

ロシアはこれまでミサイル防衛を自らの核戦力を無化する試みとしてみなしてきた。プーチン氏は批判のトーンを抑え、このシステムに関して「透明性と信頼」を増すために米国との対話が週末ロシアでのブッシュ氏との会談の席で継続されるだろうと述べた。

米国は実際の脅威─おそらくはイランからの─が生じるまではシステムの稼働を延期することを提案した。誰がこれを決定するのかは不透明なままだ。また米国は施設へのロシアの連絡将校の受け入れを示唆している。

ロシア側は脅威が実際のものとなるまでポーランドにインターセプターが展開されるべきでないと述べ、チェコのレーダーを移動できないように地面に固定することを求めている。またロシア自身の警戒レーダーを統合することを示唆してきた。さらにプーチン氏はシステムの管理と操作においてなんらかの関与を望んでいる。

ブカレストでの記者会見でプーチン氏は来月で大統領職から退くことをどう思うか尋ねられた。「なんら残念なことはない。これは長く待ち望んでいた自由だ。ここ8年でロシアは復活を経験した。強い独立国家と強い外交的態度とともに」と彼は答えた。


ミサイル防衛はこうして着々とその政治的意義を発揮しています。もちろん日本もこの中に含まれているわけです。また米欧とロシアの関係がある程度安定すれば、ロシアにとって誰が真の脅威なのか気付くことになると思うのですがね。そうなってくれると日本の負荷がだいぶ軽くなりそうなんですけれども。そんなにうまくいかないだろうとは思いつつも、ロシアの動きからは目が離せないです。

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