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荒れ気味のようで

ベルルスコーニのイタリアですが、予想通りの荒れ気味のスタートのようです。以下最近のニュースをクリップしておきます。

5月15日付の"Italy cracks down on gypsies"[FT]によると、政府は不法移民の一斉検挙で400人以上逮捕すると宣言したそうですが、マイノリティーへの攻撃に火を注ぐものだとして批判を招いているということです。ユダヤ人、ローマ・カトリック、ロマ・ジプシーの共同体のリーダーが恐怖を煽るキャンペーンに盲目になる危険を警告したとされますが、特に問題となっているナポリだそうで、マフィアによるジプシー攻撃があるかもしれないといいます。実際、移民、それもジプシーに対する怒りが高進しているタイミングの宣言だったようで、ナポリでジプシー女性が子供を拉致しようとしたとして逮捕された後、キャンプが放火されるという事件が起こったばかりだったようです。また北部でも移民が寝泊まりしていたミラノの廃屋で爆破騒ぎがあったそうです。「これは人々に恐怖をふりまくことが容認されていると感じさせたキャンペーンの結果です」と一人のロマは述べていますが、実際、不法移民がベルルスコーニの中道右派政権の先月の選挙での勝利にとって最大の問題だったと記事は締めくくられています。

また"Italy pushes for reform of Schengen deals"[FT]によると、不法移民の取り締まりにコミットしているベルルスコーニ政権は、EUのシェンゲン協定のアップグレードや居住に関する新EU法を支持しているとのこと。先日議会に提出された政府の方針は経済に焦点が当たっている一方で、ベルルスコーニ首相は治安と移民に関する強硬な声明を出したといいます。「我々は恐怖に導かれている訳ではない。民主主義の第一ルールは治安を守ることにあることを否定する者は間違っているのだ」とは首相の言葉。「成長とは我々自身が移民の無差別な入国に圧倒されないようにすることであり、我々が我々の家の主となりつつも我々の歓待の古い伝統に誇りをもつことを意味するのだ」と。北部同盟の内務大臣ロベルト・マローニを含む閣僚は木曜に─1年から4年の懲役によって不法移民を罰するという─移民に関する法案の審議を行うために会合を開いたとされます。

外務大臣のフランコ・フラティーニはイタリアはEU法の枠内で行動すると主張していますが、一方でFTへのインタビューで1985年と1990年の国境開放に関するシェンゲン協定は「アップデート」されるべきだ、また移動の自由を認める指令38は特定の条件下で規制が必要だと語った模様です。規制としては3ヶ月以上イタリアに滞在するためには最低限の所得を保持することをEU市民に対して課すことが考えられているようです。イタリアが標的にしているのはルーマニア系、とりわけジプシーのキャンプとされ、現在50万人以上が労働許可や住居なしで労働していると目されています。また選出されたばかりのローマ市長のアレマンノ氏も2万人の不法移民─主としてジプシー─を追放すると宣言しているようです。これに対してルーマニアの首相はイタリアでは「ゼノフォビックな態度」を煽っていると選挙キャンペーンを非難したといいます。またルーマニアの内務相は今週末に新しい移民プランについて議論すべくローマを訪問する予定だそうです。

ナポリに関しては、ごみ未回収問題が日本でも報じられていましたね。AFPの記事ではコレとかコレですかね。なぜこんなことになっているのか記事を読んでもさっぱり判りませんが、ともかく深刻な事態になっているようです。上の記事にもありましたが、ロマのコミュニティーへの攻撃があったのもナポリでありまして、殺気立った空気が流れているようです。

5月22付の"Berlusconi plans crime crackdown"[FT]によると、このゴミだらけのナポリで初の閣僚会議を開き、ベルルスコーニ首相はゴミを処分する新たな場所を確保すると宣言した模様です。また財務相は金融収縮の影響を受けたモーゲージの債務者が2006年のより低い金利水準にローンを定めることを許すという銀行連盟との協定を発表し、また選挙の公約通りに地方の不動産税を廃止し、私的セクターの残業にかかる税も除去することを確認したそうです。選挙戦では人種主義を煽り、ファシスト的なイデオロギーと立法を復活させようとしていると非難された訳ですが、「我々は恐怖におびえない市民の権利に取り組んでいるだけなんだ」とベルルスコーニ氏は答えています。「我々は国家を再び国家にしようとしているだけなんだ」とも。しかし彼の強硬路線はヨーロッパ委員会やイタリア左翼やナポリの普通の市民とすら衝突しているとFTは評しています。政府のプランは不法移民を「より簡単に」追放し、財産を没収することを可能にするもので、1年から4年の懲役刑を課したり、追放まで18ヶ月間センターに拘留したりできるのだそうで、外国人の居住と収入を確認したり国外追放したりする地方役人の権限が強化されることになります。また偽装結婚や子供連れでの街頭での物乞い行為の取り締まりも予告されているとのこと。資産の没収を強化し、法廷での買収行為を根絶するための対マフィアの新しい措置も用意され、重大犯罪者のDNAバンクの設立も予定されているといいます。

さらに"Berlusconi accused over media law"[FT]から。ベルルスコーニは早くも議会を自分のビジネスの利益追求に使い、様々な問題でブリュッセルと対立させていると集中砲火を受けているということです。政府は議会にかけられている法案はベルルスコーニ家によって支配されているイタリアのテレビ市場を開放するEUの指令を満たすものであると主張していますが、野党はこの修正法案はRete 4というチャンネルを競争から保護することを目論んでいると反論しているそうであります。Alitalia航空の救済が違法な国家援助にあたるかどうか欧州委員会は調査中であるといい、また不法移民の取り締まり宣言もブリュッセルに警戒感を抱かせているようであります。欧州裁判所は既にイタリアの放送システムがテレビの電波の不透明な割り当てで違法であるとしており、1999年に放送免許を得たEuropa7がRete 4に割り当てられた電波を獲得できていないと判決を出したといいます。

といった具合に選挙戦での公約を実行しているようであります。選挙民の願いを実現しているだけなのだと言えばそれまでですが、うーむとうなってしまいます。ずいぶんなところまで来てしまったものだなという感慨も湧いてきます。今後は欧州連合との対立がまた深刻化しそうですね。これまでのベルルスコーニ政権は北部同盟との関係をうまく調整できずにぐだぐだになっていた訳ですけれども今度はハイスピードで突っ切るつもりなんでしょうか。たぶんすぐに失速しそうな予感がします。ふう。

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コメント

It is interesting you find Italian politics interesting...

投稿: Giovanni | 2008年5月26日 (月) 02時59分

I'm interested in EU politics and economies. My understanding of Italian politics may be a bit biased because I usually rely on English or French sources. I wish I could read Italian.

投稿: mozu | 2008年5月26日 (月) 03時54分

I'm interested on Japanese politics and economics. I can read some basic-intermediate Japanese but it's not enough to read Asahi or Yomiuri shinbun in a reasonable amount of time, so I'm forced to use other sources (English).
Anyhow plese feel free to contact me for first hand news from this boot-shaped country where I am living now!

投稿: Giovanni B | 2008年5月28日 (水) 19時23分

Thank you for your kind words.

Although Italian politics seems very complicated through foreigner's eyes, I believe it resembles Japanese one. That's one reason that Italian politics attracts me.
誤解もあるでしょうが、なにか親近感が湧きますね。

投稿: mozu | 2008年5月29日 (木) 02時46分

>Although Italian politics seems very >complicated through foreigner's eyes, I >believe it resembles Japanese one.
The more I read about Japanese politics the more those words seems true to me.
Anyhow there are several differences due mainly to the different industrial development of these 2 countries. At any rate, we have our colourful and folklorists politicians too.
結局イタリア人と日本人はこんなに違わないと感じがします。

投稿: Giovanni B | 2008年5月29日 (木) 18時07分

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