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言えない空気

しばらく国内政治の話からは遠ざかっていたのですが、勿論それなりにニュースは追っています。このブログは中長期的な射程のありそうな話題だけにとどめて政局ネタはできるだけとり上げない方針なのですが(その能力がない)、前原氏をめぐって少し前から動きが盛んになっていることが気にかかっています。私も「偽メール事件」とそれに続く辞任劇─辞任の必要は全くなかったと思います─の時に大いなる溜息をつき、少しは権力闘争に揉まれて政治的狡知を身につけていただきたいものだと思った口であります。今回の動きも理念先行に見えますが、どうなるんでしょう。

「Yahoo!みんなの政治」に関連記事がアップされています。
民主党は政権を担えるか(1)民主党は政権を担えるか(2)[Voice]
例の話題になった寄稿論文です。経済政策についてはこれまでの発言で違和感を抱かされたことが何度かあったのですが、この危機感と使命感は買っておきたいです。この人は政治家としては発言がいささか正し過ぎるのではないかと思うところもあったりするのですが、こういうストレートな人がいないとやはり駄目な局面なのかもしれないとも思い直したりもします。この記事では官公労と旧社会党系議員への言及の仕方などの率直さが政治的狡知の欠如にも見えますが、良いぞ、前原がんばれとも思うのです。

また、中央公論の対談も話題になっていますね。
自民と民主は本当に違うのか(その1) 自民と民主は本当に違うのか(その2)[中央公論]
与謝野馨氏と田原総一郎氏との鼎談です。以前少し書きましたが、「悪魔的」云々を除けば(インタゲの話)、与謝野氏はそれなりに尊敬している政治家でありまして、この鼎談はなかなか面白い内容になっています。発言は短いですが、たいそう示唆に富んでいます。ところで「上げ潮」vs「財政再建」みたいな演出された対決図式から少し自由になる必要があるのではないでしょうかね。与謝野氏自身がこのフレーム内で話しているのが困りものなのですが。一方、ここでの前原氏の発言にはさほど違和感はないかな。「一人当たりGDP世界一」を国家目標に掲げると言っているところは世界一はともかく「一人当たり」は強調されるべきだとは個人的に思っています。それはともかく、

ですから、仮にこのまま民主党が政権を取っても大変です。私は「君子豹変」しないかぎり、まともな政権運営はできないと思いますよ。今、民主党が最もしてはならないのは、国民に対して耳触りのいいことばかり言っておいて、仮に政権を取った時に「やっぱりできません」という事態を招くこと。そして「やはり民主党の言っていたことは夢物語だった」と思われて、すぐに自民党に政権が返ること。これが最悪です。

この発言に象徴される基本政策批判、農政関連のバラマキ批判が物議を醸したようですね。勿論正論なんですが、立腹した民主党内のプチ・スターリニスト達が恫喝文書を発表したことは先日報道されたのでみなさんご存知でしょう。というわけで党内では前原氏はどうやら浮いた存在になりつつあるようです。この辺の空気はあまり信用ならない政局記事からも伺えますが、田原氏が応援記事の中で批判しています。

前原誠司の勇気に応えよ(1)前原誠司の勇気に応えよ(2)[Voice]
これによれば、

この問題が起きたとき、じつは私は何人もの民主党議員に直接電話をかけて、「あなたは前原氏と同じ意見ではないのか。なぜ手を挙げないのか」と理由を聞いた。答えは「いまは時期が悪い」「同じことをいえば、自分まで党内で浮いてしまう」というものであった。    小沢氏が怖いのかというと、そうではない。いってはいけない空気が、民主党のなかにある。それで何もいえずにいるという。これでは政党のなかに言論の自由や表現の自由がないも同じである。議員たちは沈黙を強いられ、前原氏はまったく孤立した状態にある。こういう民主党は嫌だな、と思う。いつのまにか民主党は、北朝鮮のような党になっていたのだ。いつから民主党は、そんな情けない政党になってしまったのだろうか。

といった状態のようであります。前原氏も意識しての議論喚起のつもりだったのでしょうが、9月の代表選を前にして党内は腹の探り合い中で誰も呼応しなかったという結果になっているようですね。こういう部分は理想家肌の前原氏の政局観のなさなのかもしれませんが、これが事実だとすると田原氏同様に今の民主党の空気はいやだなと思います。というわけで民主党関係者は多分読んでいないでしょうが、書いておきます。ここで前原氏を干すようだとそうとうイメージ悪いですよ。社共みたいな硬直的な政党に見えます。政権交代に向けて結束を強めるんだというのは判りますけれどもね。代表選で活発な政策論争がないようでは政党としてどうなのよということになりますし、基本政策の練り直しはどこかでしなくてはならない作業であって逃げるわけにはいかないですからね。マニフェストというのは祝詞じゃないんですから。といっても小沢氏が代表にとどまっている限りはどうにもならないんでしょうかね。なんとも停滞感の漂う話であります。

微修正しました(7.11.2008)
なおねじれ国会および民主党の戦術についての考えは「頼むよ民主党」「ねじれの効用」というエントリで以前書きました。対決路線は結構、しっかりチェック機能を果たしてください、ただもうそろそろ政権獲得後をにらんで基本政策について議論しておいたほうがいいんじゃないですかという話です。

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