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リアリスト経済学って凄そう

ふう。なんだか忙しい日々です。気になった記事をクリップしておきます。

"Lessons from a “lost decade”"[Economist]
日本型の失われた10年はないだろうという予測に対して類似性は思っているよりも大きいよと楽観論を戒める内容です。単に日本側のマクロ政策の失敗と考えているのだとしたら傲慢だろうと。この記事では最大の失敗は橋本政権下の消費税増税と見られているようで、日銀、大蔵省の他の政策的ミスとされるものはやや寛容な仕方でスルーされています。目配りはまずまずきいているので違和感はそれほど抱きませんでしたが、やはりモデルが違うので比較はしにくいのではないでしょうかね。なお地価のグラフは少し意外でした。

箸墓古墳:天皇陵に規模匹敵「卑弥呼の墓」強まる? 周濠、推定より40メートル広く[毎日]
卑弥呼?それとも後継者? 大規模周濠の一部を初確認 奈良・箸墓古墳[産経]
箸墓古墳の周濠が確認されたという記事です。周濠の存在は既に確認されたものと思っていたのでなにがニュースなのかしばらく判りませんでしたが、正面部分ではじめて確認されたということのようですね。また従来想定されていたよりも広かったと。産経や毎日は邪馬台国論争に絡めてはしゃいでいますが、素人目に見てもそれはないんじゃないですかね。もうこの時代に関しては邪馬台国は括弧に入れて話を進めたほうがクリアになるような気がするのですが。ところで箸墓古墳にまつわる三輪山伝説はいかにも神話的でなかなか楽しいですよね。

"Les Occidentaux ont une marge de manoeuvre étroite"[L'Express]
ロシアの専門家にして異端的経済学者のジャック・サピールのインタビューですが、ロシアに対する西洋側の経済カードは有効ではないと分析しています。資源輸出国にして介入主義的なロシアにとってWTO加盟はそれほどのメリットをもたらすものではない。また現状経済成長に湧くロシアと景気後退に向かう西洋諸国では前者に有利だ。アメリカ企業が取引停止したとしても、ロシアとアメリカとの取引は全体の3%程度に過ぎないので有効ではない。打てる手は少ないが、西洋諸国の技術や知識をロシア側が欲しているところに鍵があるかもしれないと。

ここのところジャック・サピールが非常に元気な印象を受けます。彼もまたこのたびの危機に実は驚喜している一人なのかもしれません。90年代のロシアの急進的な市場経済化の失敗への批判はスティグリッツ同様に正しいと思うのですが、ほとんどプーチン礼賛者のごとき最近の言説(例の「主権的民主主義」の称揚)にはちょっと大丈夫ですかねと言いたくなります。いや「欧州リベラリズム」の批判者にして新古典派経済学を超克する「リアリスト経済学」の提唱者、経済的なるものに対する政治的なるものの復権を訴える共和主義者にしてこの反EU的な主権主義者の言説が妖しい光を放っているのは今にはじまったことではないのですが。日本にはいないタイプの左翼ですね。でも思想史的に考えて正しく左翼だと思います。軍事にも通暁していて、対満州国戦争がソ連軍の「軍事革命」をもたらしたという(多分)異色の論考には興味があるのですが、未読のままです。

なお何度か言及している「主権主義」については主権主義政党について優れた論考(日本語)がありましたのでPDFにリンクしておきます。現政権の周囲にもけっこういますね。

"Japan: Residents go to courts to evict yakuza"[Guardian]
ヤクザと右翼が大好きな(皮肉です)ガーディアンの記事。福岡県久留米市の指定暴力団道仁会の本部事務所に対して周辺の住民約600人が使用差し止めを求める仮処分を裁判所に申し立てたという例の話ですね。ところで

According to Japanese newspaper reports, the eviction attempt is the first by ordinary residents against an officially recognised crime syndicate.

とありますが、これは間違いじゃないですかね。これまでにも同様の訴訟は各地で展開され立ち退きに成功したが、本部事務所に対しては初めてだという話だと思うのですが。また前にWaPo(でしたっけ)に後藤組について書いていた元読売のJake Adelstein氏がまた登場しています。ヤクザ・ネタをおさえると仕事に困らないのかもしれませんね。最近の事態の推移をなんとはなしに眺めていると、このあたりのずぶずぶの構造も、地域的な差異はあるのでしょうが、じわじわと変わってきている印象を受けます。ところでもし合法活動だけをするようになったならば彼らはいったい何者なんでしょう。

"God’s Home Gets Rehab, and Japan Sneaks Peek"[NYT]
出雲大社の御本殿特別拝観のネタです。御神体は何なんでしょうというまとめ方です。出雲大社の御神体の謎というのは確かにあるんですけれども、他にもいろいろな謎はありますし、出雲絡みなら大西記者好みのネタはいくらでもあるでしょうに。島根までわざわざ行ったのにちょっと流した仕事でしたね。どうも宗教ネタは今ひとつ弱いみたいですね。弱者や貧者にフォーカスしたいならばここは本気で取り組むべき領域ではないでしょうか。

ではでは。皆様お元気で。

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