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預金保護競争

以下本当の記事のクリップです。

独不動産金融、救済策を見直し 5兆円支援の白紙撤回で[日経]
独政府、預金を全額保護[日経]
下の記事は短信ですので全文引用します。

ドイツ政府は5日、国内の個人預金を全額保護する方針を表明した。メルケル首相は「預金は安全だ」と語った。ドイツには複数の預金保険制度があり、実質的に預金が全額保護される仕組みだったが、政府関与の一段の強化を打ち出すことで、金融危機に伴う預金者の動揺を抑える狙いがある。具体策は明らかになっていない。

ドイツ事情に弱い事もあってヒポ・レアルエステートについてはこのたびの金融危機で初めてその名前を知ったクチなのですが、政府支援によるヒポ救済案が他の商業銀行の撤退によって失敗したという報で日曜の欧州メディアは大騒ぎでした。これが破綻した場合にはその規模から言って第二のリーマンとなるのではないかと。メルケル首相が預金全額保護宣言を出したようですが、不安定な状況には変わりないようです。先日のG4サミットにおいて預金保証宣言を出したアイルランドの抜け駆けを批判したばかりでしたが、一転してこの措置です。記事で触れられているアイルランドの子会社というのはDepfaという不動産、公共事業関連の金融機関のようですから、これもアイルランドの不動産バブル崩壊の余波ということなのでしょうか。

"Berlin shrugs off attacks on savings pledge"[FT]
この記事では抜け駆けへの批判に対するドイツ側の反応が伝えられています。G4サミットの際にはこの措置は決定されていたものの他の首脳には相談しなかった模様です。確かにフランス提案の欧州全体での救済プランを蹴って、アイルランドを批判をした手前、セルフィッシュな行動ととられても仕方がないでしょうね。

"The European collective response"[Marginal Revolution]
欧州としての強調のとれた行動がとれていない状況についてマージナル・レボリューションのTyler Cowen氏の短い論評。このたびのドイツの預金保護はnot a good sign。

British depositors were already crowding to get into the nationalized Northern Rock but they were turned away at the proverbial door. Other news is that the German government-led bank consortium to rescue Hypo Bank has fallen apart, not a good sign. The German government has today moved to guarantee all "private savings deposits" [private Sparanlagen], also not a good sign. Which other countries will now follow suit? All of them? Europe as a whole lacks a safe asset as focal, liquid, and available as T-Bills and now that is becoming a problem.

"The case for a European rescue plan"[FT]
Wolfgang Münchau氏の論評。ECBが利下げに向かうとか素早く国有化や救済に動いているとか自讃しているむきに対して辛い忠告をしています。デクシアだのフォルティスだのヒポだの中堅どころの救済はできても巨大金融機関が危機に陥った場合には救済できんのと。関心を引いたのはサルコジ・プランを支持しているところですね。サルコジは正しく、メルケルは間違っていたと。

Nicolas Sarkozy, the French president, was therefore right when he appeared to back a €300bn rescue fund. Regular readers of this column will probably recall my somewhat constrained enthusiasm for his economic policies. But this had the makings of a good plan. He ended up distancing himself from it, when it became clear that Angela Merkel, the German chancellor, would not support it. But he was right and she was wrong. Of course, a European plan should not have been a copy of the bail-out that was finally adopted by Congress on Friday. The US plan failed to address the problem of an undercapitalised banking sector. That issue is even more important in Europe where many banks have an extremely weak capital base, with leverage ratios of 50 or more.

またアメリカでは銀行危機かもしれないが、欧州の場合、通貨制度そのものの危機につながり得るんだと警告しています。どうやらユーロ崩壊論が本気で囁かれるようになってきましたね。軍靴の音ではないですが、リラ復活の声が・・・。

For Europe, this is more than just a banking crisis. Unlike in the US, it could develop into a monetary regime crisis. A systemic banking crisis is one of those few conceivable shocks with the potential to destroy Europe’s monetary union. The enthusiasm for creating a single currency was unfortunately never matched by an equal enthusiasm to provide the correspondingly effective institutions to handle financial crises. Most of the time, it does not matter. But it matters now. For that reason alone, the case for a European rescue plan is overwhelming.

欧州協調の枠組みが不十分なところで通貨統合してしまったツケを払わされることになってしまうのでしょうか。あちらでは鼻であしらわれつつもユーロは駄目だろうと言い張っていたのですが、まさかこんな風になるとはね。いや、まだそこまでいくとは決まったわけではないですし、内輪もめを続けながらもぎりぎりの協調を実現できるのかもしれません。ですが、どうも不穏な予感が脳裏から離れません。

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コメント

経済系のブログでも欧州の問題を論じるところが増えてきましたね。

ぐっちーさん
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/77f7c63534b7c4e7696e9bf1c959a6ca

本石町日記さん
http://hongokucho.exblog.jp/9638659/

通貨や金融政策が一つなのに、プルーデンス政策は国ごとにバラバラという矛盾が、ここに来て噴出した格好ですね。どうなってしまうことやら。

投稿: Baatarism | 2008年10月 7日 (火) 10時08分

■現在の金融危機は2003年当時からすでに予測されていた!!―真の原因は誤った個人主義であり、いまこそ社会変革が必要だ!

こんにちは。今日の金融危機は、2003年あたりからすでに予測されていました。私のブログでは2003年のNHKスペシャル「個人破産―アメリカ経済がおかしい―」の動画を掲載しました。この動画をご覧になると、今日の金融危機すでに十分懸念されていたことが分かります。今日、その懸念はアメリカ金融機関の崩壊という形で現実のものとなりました。この動画では、消費者に無理に消費を強いることにより今日の事態を招いたことがはっきりと示されています。現在、ITバブル崩壊、株価低迷、消費者の旺盛な消費もなくなり、次の時代に何をすれば良いかが見えない時代になっています。しかし、私は、今こそ真剣に社会変革に取り組む時期に来ていると思います。これが、アメリカの実体経済をも良くする唯一の道だと思っています。詳細は是非私のブログをご覧になってください。

投稿: yutakarlson | 2008年10月 7日 (火) 14時38分

決め事とはいえ、この状態でドイツが何故国別解決に拘泥しているのか、説明がないので分かりませんが、英独仏伊の四カ国首脳会議では、英独の二カ国が国別解決を主張してフランス案に反対したことから考えると、賛成した場合、大口出資者となるのは英独の可能性が高いからかもしれません。自国経済が更に悪化する可能性があるこの時期に、他国の杜撰な経済政策の後始末までの余裕は無い、というところではないかと考えています。
欧州はいまG8に期待しています。と言っても、G8の殆どが欧州の国ですので、日本が良い格好してババを引かないことを願っています。

投稿: chengguang | 2008年10月 7日 (火) 16時03分

>Baatarismさん
ええ、ここにきて矛盾が露出してしまいましたね。もともと理論的にあり得ないことをやってきたわけですからねえ。

投稿: mozu | 2008年10月 8日 (水) 00時27分

>yutakarisonさん
社会変革というのはどんな変革なのでしょうね。ご紹介ありがとうございます。

投稿: mozu | 2008年10月 8日 (水) 01時03分

>chengguangさん
損をかぶるのを怖れたということなんでしょうけれどもね。じゃあなんで欧州連合を主導してんのということになりますね。ババを引かないようにというのは本当ですね。中川財務大臣の交渉力に期待したいところです。

投稿: mozu | 2008年10月 8日 (水) 01時10分

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