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ドイツ語できる人求む

"Bouclier antimissile américain : Sarkozy fait marche arrière"[NouvelObs]
東欧に設置されるミサイル防衛システムについて先週の木曜と金曜にサルコジ氏がかなりストレートに批判したことは大きく報じられていましたね。ミサイルの設置は不適切であり、欧州の安全に貢献しないと。この発言はもはや宿敵と化した感のあるチェコ大統領の憤激をひき起していましたが(ポーランドからもお前は関係ないだろ発言がありました)、G20の後にはあっさりとトーン・ダウンしています。曰く、ミサイル防衛システムは「他国、とりわけイランからの脅威に対する補完物」となるだろうと。ブログでも書いたようにグルジア紛争勃発時には少し違う感想を持っていましたが、だんだんフランスの戦略が見えてきて基本的に合理的なんだろうと思っていたのですが、ちょっとこの展開は拙かったように見えます。少なくともオバマ政権の対露政策が見えてから動くべきだったのではないでしょうかね。どういう圧力がかかったのかは判りませんが(G20に出席していたオルブライトあたりでしょうか)、結果、ロシアの猜疑心を高める結果になったように思えます。いつものおっちょこちょいなのか、あるいはレヴィット氏あたりの入れ知恵なのか判りませんが、まあ、またリカバリーに動くのでしょう。

"French Socialists torn after congress failure"[FT]
社会党党大会については仏語メディアはずいぶん騒いでいましたが、このFTの記事は要領よくまとまっていますね。分裂の危機かまで言われていましたが、社会党、あいかわらず重症です。結局、パリ市長のドラノエ氏が退場してロワイヤル氏とオブリ氏の対立構図が残される結果になりました。問題はこの二人の対決がなにを意味しているのか意味が判らないところにあると思います。理念的な路線対立というわけでもなく、また誰の利害を代表しているのか(階級、地域、人種)不透明ということもあり、結局、ただのいがみ合いにしか見えないところが問題です。さっそく右翼からは野次が飛んでいますね。さすがに政党政治が機能しないというのはまずいと思うのですが(まあ我々は慣れっこですが)、むー、このままフランス左翼は沈没していくのでしょうか。社会党については書き出すと長くなりそうなのでこのぐらいにしておきます。

"Ce n'est plus Jean-Marie Le Pen qui dirige le Front national"[Rue89]
国民戦線のごたごたですが、幹部級のカール・ラングとジャン・クロード・マルティネがどうやら離脱する可能性があるようです。「もはや国民戦線を指揮しているのはジャン・マリ・ル・ペンではなく娘だ。残念だがそういうことだ」というのはラング氏の弁。ラング氏は国民国家派、マルティネ氏は欧州派ということで最近の欧州極右の分裂傾向を体現しているような二人ですが、両者から見ると娘のマリヌはぬるくて仕方がないようです。発言だけみるならば、別に与党UMPの議員でもおかしくないような人ですからまあそれは判らなくもないです。ということで一世を風靡した(?)国民戦線もすっかり退潮のようです。

"Jean-Pierre Jouyet quitte le gouvernement"[Coulisses de Bruxelles]
ジャン・ピエール・ジュイエ氏が欧州担当閣外大臣を辞職する話については書きましたが、この件についてのカトルメール氏の論評です。英語圏ではジュイエ氏の辞職後はサルコジ氏周辺のユーロ懐疑派勢力が強くなるのではないかという危惧する声が既に見られるようですが、カトルメール氏の意見では、まずクシュネルは駄目(海外プレスに対する荒っぽさと軽蔑ゆえに)、また空位が続くようだとサルコジ氏周辺の助言者連中がやりたい放題する危険がある。また現在サルコジ周辺でドイツ語を話せる人間がいないのに対してベルリンの欧州チームは全員フランス語を話せるという状況でこれがパリに対するルサンチマンになっている。したがって空位期間は短く閣僚級の人物でドイツ語が出来て・・・と条件を挙げています。あまり夢見ることはできないとおっしゃっていますが、実際、そんな人間はいるのでしょうかね。普通に考えるとアンリ・ゲノー氏かジャン・ダヴィッド・レヴィット氏のどちらかが主導しそうな気がしますが、どちらにしても周辺国の猜疑心を高めそう(特に前者)です。ここは重要ポストですから興味深いです。

こんな具合でどうもサルコジ氏のパワーを前にあらゆる政治勢力がかすんでしまっている感があります。また今後の対欧州政策の責任者が誰になるのかというのはフランスだけの話ではないのでかなり重要ですね。当初のパプリック・イメージ(「大西洋主義者」「新自由主義者」云々)は多分につくられたものでしたが、徐々に地が出てきているところなだけに目が離せないです。もっともなにが地なんだかよく判らないのですけれどもね(笑)。筋金入りのボナパルティストということなんでしょうかね。

ではでは。

追記
ゲノー氏あたりの入れ知恵→レヴィット氏あたりの入れ知恵に直しました。実際のところよく判りません。しかし、バランサーってなかなか難しいですね。

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